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カテゴリー : 堆肥・肥料

 

麦茶粕の黒さは何由来?

麦茶粕を接写で撮影してみたらの記事で麦茶粕を接写で撮影してみた。接写した時の内容は今回の記事とは関係無いので改めて触れることはしない。早速本題に入ることにする。麦茶粕を見ていて思うことは黒くなっている箇所は何なのだろう?ということ。堆肥として土に混ぜた時に効果は期待できるのか?と。直感的に考えると、黒くなった箇所はタンニンのような気がするが、どうやらそうではなさそうだ。茶系飲料製造残渣 - ルーラル電子図書館によると/*******************...

 

麦茶粕を接写で撮影してみたら

使用済みの麦茶のパックを天日干しし、軽くなったところでパックから取り出してみた。紅茶やコービー粕と異なり、麦茶粕はなかなか乾燥しないからパックに張り付いて取り出しにくい。なんてことを思っていたのだけれども、接写レンズで麦茶粕を撮影してみたらシャボン玉のような泡ができていた。これは麦茶に含まれるサポニンか?煮出しした麦茶が泡立ったこの泡立ちが、他の飲料水の粕と比較して乾燥しにくい要因か?サポニンであれば、他の有機化合物に何らかの影響を与えるので、...

 

水田の基肥の代替としての鶏糞の続きの続き

今回は水田の基肥の代替の鶏糞で臭気の影響は見ておくべきか?の続き。水稲で鶏糞を施肥する場合、一次発酵終了後の早熟か、四次発酵以降の熟成か選ぶことになり、どちらにも一長一短があることがわかった。栽培と畜産の間にある糞詰り問題次に気になることとして、家畜糞としての鶏糞に含まれるカリの多さだろうか。鶏糞にどれくらいのカリが含まれているのか?に関しては、たい肥情報一覧表 [鶏] - 豊橋市の資料がわかりやすいので参考にする。ばらつきはあるが、NPKを見ると、窒素よ...

 

水田の基肥の代替の鶏糞で臭気の影響は見ておくべきか?

水田の基肥の代替としての鶏糞の続きの記事で稲作の基肥として用いる場合、熟成度合いは少ない方が良いのか?それともしっかりと熟成した方が良いのか?に関して、窒素成分の観点からだと、熟成度合いが少ない方が良さそうだという内容を記載した。前回の記事の末尾で、鶏糞の熟成度合いで臭気の視点を加えたらどうだろう?という締めで終わった。というわけで、今回は臭気について考えてみる。以前、家畜糞の完熟で変化していく臭いの記事で家畜糞の熟成と臭気成分の変化について記載した。家畜糞は...

 

水田の基肥の代替としての鶏糞の続き

水田の基肥の代替としての鶏糞の記事で水田の基肥の代替として鶏糞が挙がっているという内容を記載した。この話で真っ先に頭に浮かんだのが、とある稲作農家が鶏糞は極力熟成が進んでいないものが欲しいと言ったことだ。とはいえ、排出したての生糞は外に持ち出せないので、一次発酵処理を終えたものだ。栽培と畜産の間にある糞詰り問題鶏糞は熟成する程、アンモニア態窒素が減り、硝酸態窒素が増えるという特徴があり、イネは硝酸態窒素よりアンモニア態窒素を好むので、とある稲作農家の発言は...

 

水田の基肥の代替としての鶏糞

水田の肥効にズレが生じているのでは?の記事で、今年の近隣の稲作では既に一発肥料の肥効にズレが生じているように見えるという内容を記載した。ここでふと気になったのが、配合肥料に含まれる有機質の成分で、検索をしてみたら、水稲の基肥の代替として鶏糞を挙げていることが多いことが気になった。今回は水稲の基肥としての鶏ふんの利用 - 農業・食品産業技術総合研究機構の内容に触れる。基肥の代替として鶏糞に着目している理由として、家畜家禽の糞の中で鶏糞が化成肥料に近い性質を有...

 

水田の肥効にズレが生じているのでは?

今年も近隣の水田の様子を見ているのだが、いつも見ている田よりも周辺の田の方が葉の色が薄い。※比較用の写真は載せないので、葉色の薄さは想像でお任せします。なぜ、上記の症状で違和感を感じているのか?というとレンゲ米の水田からイネの生長を考えるの記事に記載している内容であるが、いつも見ている物理性の改善 + レンゲ + 中干し無しの田では地上部の初期生育が遅く、葉色が濃くなるのが周辺よりも遅い傾向にある。それにも関わらず、今年の周辺の水田の葉色が薄いのは、肥料の効きが若干ズレたから...

 

石灰乾燥剤の生石灰

ナメクジは石灰が苦手なのか?の記事で、ナメクジと石灰の話題を記載し、庭で生ゴミを埋めている箇所にナメクジがたくさんいるので、生ゴミのところに石灰を施してみることにした。とりあえず、冒頭のような石灰乾燥剤がいくつかあったので、包装を開けてみた。石灰乾燥剤の主成分は生石灰(CaO)になっていて、生石灰は周辺の湿気をよく吸収し、Ca(OH)2の消石灰となる。冒頭の石灰乾燥剤は古くから水場付近に置いていたので、中身のほとんどは消石灰になっているだろう。石灰乾燥剤に含まれる生石...

 

硫酸リグニンは水稲の硫黄欠乏を解決できるか?

有機態硫黄とは?の記事で土壌中に蓄積された硫酸についての内容を触れた。チロシンとエステル結合したした化合物を眺めていたら、※図 高野俊幸 リグニンの利用に向けて - ネットワークポリマー Vol. 31 No. 5(2010)216ページより引用硫酸リグニンは施設栽培の慢性的な鉄欠乏を解決できるか?の記事で触れた硫酸リグニンを思い出した。話は変わって、水稲で硫黄欠乏に注意した方が良さそうだの記事で水稲において硫黄欠乏が深刻化するかもしれない...

 

有機態硫黄とは?

愚者の金までの記事で土壌に含まれる硫黄に関しての内容を記載した。上記リンク先の記事では硫化鉄(FeS2)という鉱物として土壌に含まれているという内容であったが、土作りを行った土壌での硫黄の保持について気になったので調べてみた。イオウを貯める土・貯めない土 - 国立研究開発法人森林研究・整備機構に拠ると、黒色土で硫黄の保持能力が高いという記載があった。これは含有アルミナ鉱物に因るものだろう。黒ボク土の活性アルミナ対策としてのリン酸施肥併せて、土壌に保持さ...

 

愚者の金

水稲で硫黄欠乏に注意した方が良さそうだの記事で水稲での硫黄欠乏について触れた。水田における硫黄といえば、硫化水素の発生源になり、肥料としての硫黄は量をあまり必要としないというなんともさじ加減が難しいなと感じる要素であった。そんな硫黄だけれども、火山国日本では徹底して硫黄を入れないとしない限り硫黄は欠乏しないとされているらしい。※伊藤岳洋等 硫黄欠乏に対する植物の応答 適応のための内的動態 - 化学と生物 Vol. 60, No. 10, 2022の概要に記載されていた...

 

水稲で硫黄欠乏に注意した方が良さそうだ

シニグリンとアリルイソチオシアネートの記事で、硫黄を含む化合物を調べている時に、伊藤岳洋等 硫黄欠乏に対する植物の応答 適応のための内的動態 - 化学と生物 Vol. 60, No. 10, 2022にたどり着き、本編の内容とは関係ないが、概要に記載されている内容に気になった。気になった内容というのは、/***********************************/近年は硫化水素の発生により生じる秋落ちを防ぐために長期に渡り無硫酸根肥料を施用してきた圃場における水稲の-...

 

メチルイソチオシアネートは土壌中でどのように変化するか?の続き

メチルイソチオシアネートは土壌中でどのように変化するか?の記事で、環境に優しいとされる土壌消毒剤のメチルイソチオシアネートの分解について見てきた。推定の反応経路で、H3C-N=C=S + H2SCS2 + H3C-NH2メチルイソチオシアネート(H3C-N=C=S)と硫化水素(H2S)が反応することによって、二硫化炭素(CS2)が生成されるものがあった。二硫化炭素は求電子剤(電子を欲しがる)の性質を持つ。土壌中に二硫化炭素が発生すると、様々な物質を酸化する為、...

 

オカラは有機質肥料として優秀では?

雪花菜や御殻と書いてオカラと読むの記事でオカラのざっくりとした内容を記載した。オカラについて絶対に把握しておきたい内容として、オカラに含まれる栄養価がある。何の栄養が含まれているか?は食品加工と肥料の製造のどちらにとっても大事な内容となる。というわけで早速、栄養価について見ていく。日本豆腐協会のサイトにおからの栄養価についての記載があったので見てみると、おからの栄養価(100g当たり)(五訂日本食品標準成分表より)エネルギー111kcal ...

 

肥料用鉄鋼スラグは水稲のメタン発生を抑えられるか?

今回は水田のメタン発生を抑制する為の鉄剤を考えるの続き。松岡明芳 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる水田のメタン発生を抑制するために鉄鋼スラグが有効であるか?というお題に対して、本当に有効であるか?を判断するために鉄鋼スラグについて整理していくことにする。鉄鋼スラグ協会が発行している鉄鋼スラグとは?の資料によると一般的に肥料として用いられるスラグは製鉄スラグの電気炉系スラグの内の還元スラグになるらしい。スクラップ + 合成鉄...

 

水田のメタン発生を抑制する為の鉄剤を考える

町を歩いていると、そろそろ春の田植えの準備が目に付くようになる。田植えの準備は色々あるが、重要なものに肥料の選定がある。稲作の肥料、特に一発肥料は優秀で、余程の天候異常が無い限り及第点以上の収穫になるので、施肥設計をいじるべきではない。今年の稲作でも一発肥料が意図通りに効いていないただ、水田からメタン発生を気にして乾田にすることは良い手なのだろうか?の記事でも触れた通り、水田から発生するメタンに対しての世間の目が厳しくなりつつある中で、メタンの抑制に対して何らかの手を打た...

 

アカマツはアンモニア態窒素を好む

アカマツと刀の記事まででアカマツについて色々と調べていたわけだけれども、その時に興味深い報告を見かけたので今回はその内容について触れる。その内容というのがアカマツと栄養としての窒素だ。赤間亮夫等 アカマツの窒素利用特性と生育適地の関係 -林木の栄養生理における一考察- 森林総合研究所研究報告 第19巻3号 2020で高所で生息するアカマツとアカマツよりは低所に生息するスギの窒素利用特性についてが記載されていた。スギは窒素を主に硝酸態窒素という形で吸収して、一旦体内で蓄積させた...

 

家畜糞の熟成について考えるの続き

家畜糞の熟成について考えるの記事で家畜糞の熟成とは何か?について考え、・水分量が減る(べちゃっとした状態から上の写真のコロコロとした状態になる)・スカトール臭?やアンモニア臭が減り、火薬っぽい臭いに変化したを挙げ、後者の家畜糞の臭いの変化について触れた。今回は前者のコロコロとした状態になる方について触れる。べちゃっとした状態からコロコロとした状態になるためには水分を飛ばす事はもちろんの事、家畜糞に含まれる成分も変わる必要がある。上の写真は鶏糞で、鶏糞を見る...

 

家畜糞の熟成について考える

家畜糞の完熟で変化していく臭いの記事で家畜糞ではないが、有機物の堆肥化での臭いの変化について見てきた。家畜糞の熟成も同様の臭いの変化で良いと思っている。この内容を踏まえた上で、先日話題に挙がった鉄触媒処理によって熟成は促進することができるのか?について触れていきたい。最初に鉄触媒処理について触れておくと、重要だけど扱いにくいものでもある二価鉄で鉄は電子を受け取りやすく離れやすいという特徴があると記載した。例えば、鉄が電子を多く持っている状態のFe(Ⅱ)と酸素を近づけると、...

 

家畜糞の完熟で変化していく臭い

哺乳類の大便の臭い成分は何か?の記事で哺乳類の大便の臭いは何か?を見た。この内容を踏まえ、話題を次の段階に進めることにしよう。家畜糞の堆肥化について見ていきたいと記載したところだが、家畜糞と堆肥という用語を並べて使うと栽培上の様々な弊害を生むので、家畜糞の完熟という言葉に言い直して話を進める。環境保全型栽培を謳うならば、家畜糞による土作りを止めることから始めるべきだ完熟において一番注目している点は臭いではないだろうか?この臭いを制すれば、完熟についての理解は深...

 

シイタケ栽培の排水由来の土壌改良材

渋柿の渋さはどうやって消える?の記事で柿(カキ)の渋さが消える仕組みについて見てきた。カキの渋さは消えるのではなく、渋さの要因のタンニンが更に重合して水に溶けにくくなり、カキを食べたときに舌でタンニンを感じなくなることだった。この内容はタンニンについて - 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 天然物化学研究室のページに詳しい記載があったのだけれども、クリの方のタンニンで興味深い記載があった。※クリのタンニンは化学式を見る限り、カキのタンニンとは構造が大幅に異なるので...

 

成分含有率を見て、改めて有機質肥料としての米ぬかは優秀だと思う

有機質肥料としての大豆粕の記事で食品残渣由来の各有機質肥料の成分表を引用して記載したが、改めて、米ぬかの凄さを実感した。注目したい点はCa(石灰:カルシウム)とMg(苦土:マグネシウム)の比で、Ca : Mg : K ≒ 1 : 5になっている。※カリウムを含めると、Ca : Mg : K ≒ 1 : 5 : 3.5になる施肥設計の黄金比として、Ca : Mg : K(カリウム) = 5 : 3 : 1となっているが、魚粉肥料についてを細かく見てみる3等の話題で石...

 

有機質肥料としての大豆粕

米ぬか嫌気ボカシ中のリン酸の挙動を考えてみるまでの記事で大豆粕(脱脂大豆)を主として有機質肥料についてを見てきた。有機質肥料では肥料の主の要素であるN:P:K以外に核酸やビタミンの肥効も意識しておく必要があるということがわかった。とはいえ、やっぱり有機質肥料を扱う上で、N:P:Kは大事なわけで、何か良い資料はないかな?と探してみたら、有機質資材の使い方 - 岡山県に良い感じの表が掲載されていたので引用してみる。※図:有機質資材の使い方 - 岡山県 106ページより...

 

米ぬか嫌気ボカシ中のリン酸の挙動を考えてみる

大豆粕にコリンは含まれているか?までの記事で有機質肥料の大豆粕(脱脂大豆)には発根に良い影響を与えるホスホコリンが豊富に含まれている可能性があるという内容を記載した。ホスホコリンの化学式を改めて眺めてみると、Edgar181 - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによるコリンにリン酸が付与されている。ホスホコリンの化学式を見て、もしかしたら、米ぬか嫌気ボカシの製造で、Yikrazuul - 投稿者自身による著作物,...

 

大豆粕にコリンは含まれているか?

コリンは発根に対して有効か?の記事で肥料としてのコリンの施肥について触れた。次に気になるのはコリンを多く含む有機質肥料はあるか?になるだろう。それなりに食品加工の残渣があって、コリンの含有量の多い食品といえば、大豆が思い浮かぶ。有機質肥料の大豆粕は大豆から大豆油を採油したものの残渣になる。大豆油にコリンが含まれていなければ、大豆粕にコリンが大量に残っていることになるわけで、大豆粕までの各段階のコリンの量を調べてみることにする。はじめ...

 

コリンは発根に対して有効か?

猛暑日が増加する中で大事になるのは米ぬかの施肥技術の確立になるだろうまでの記事でビタミンB3ことナイアシンを植物に与えた時の挙動の話題を記載してきた。次に気になるのが、他のビタミンでも作物にとって良い効果をもたらす栄養があるかもしれないということで調べてみることにした。上記のテーマで真先に頭に浮かんだのが、コリン配合肥料で、SVGファイル化: OmenBreeze - 次の画像を基にした投稿者自身による著作物: Choline-skeletal.png by B...

 

猛暑日が増加する中で大事になるのは米ぬかの施肥技術の確立になるだろう

植物はニコチン酸をどのように合成するのだろう?の記事で植物にビタミンB3を与えると乾燥耐性を得られるという話から、どの有機質肥料にビタミンB3が多く含まれているのか?を調べてみた。いくつか挙げてきた中で一番有力なのが、おそらく米ぬかで、この米ぬかに対して、酵母による発酵が関与すると更に増える可能性がありそうだということがわかった。であれば、ここで真先に頭に浮かぶのが、年々増加するであろう猛暑日に対して、米ぬかを匠に扱える栽培方法を確立する必要があり、誰もが米ぬかを使用...

 

ナイアシンは食品残渣系の有機質肥料に豊富に含まれている

植物は見えない程の干ばつでリン酸を大量に使用しているかもしれないまでの記事でビタミンB3ことナイアシンが肥料として重要になるかもしれないという話題を記載した。今回はナイアシンが豊富に含まれている有機質肥料について考えてみる。※今までの記事ではシロイヌナズナにナイアシンを与えた時の話題だったが、他の作物でもナイアシンの肥効があるものとして話を進める。ナイアシンが豊富に含まれている有機質肥料を思い浮かべると、真先に頭に浮かぶのが、米ぬかになる。米ぬかに含まれるミネ...

 

核酸の肥効について考えてみた

イノシン酸が発根を促進するならばまでの記事で植物が核酸のイノシン酸を吸収することで発根促進する理由を考えている。この手の内容は以前も考えていたが、改めて考えてみたい。パブリック・ドメイン, Link植物の体内ではイノシン酸からNEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによるアデノシン三リン酸ことATPが合成される。このATPはエネルギーの貯蔵・運搬に用いられたり、DNAやRNAを構成する主成分となっている。 ...

 

イノシン酸が発根を促進するならば

植物は核酸系旨味成分を合成するか?の続きまでの記事で、核酸の合成を見てきた。核酸といえば、作物に核酸の一種であるイノシン酸(IMP)を施肥すると発根が促進するという話題がある。窒素肥料の複雑さの続き上記の話から少し脱線するが、米ぬかボカシを施肥すると発根が促進されたという話があるが、これはもしかして、ボカシ肥中にイノシン酸等が増加したことに因るものなのか?ということが頭に浮かんだので考えてみることにする。米ぬかボカシと核酸に関して、最初にぬか漬け中...

 

植物は核酸系旨味成分を合成するか?の続き

植物は核酸系旨味成分を合成するか?の記事で植物は核酸系旨味成分であるイノシン酸やグアニル酸を合成できるのか?を考えていたら、全生物共通でATPを合成する経路にイノシン酸とグアニル酸があったので、植物でも核酸系旨味成分は合成しているという結論になった。次に生じる疑問として、植物の根が核酸系旨味成分を吸収した際、それらの成分を再利用するのか?があるけれども、この内容を考えている時に晴れの日の草むらのキノコたちの記事で核酸に含まれるプリンに似た成分の※図:「フェアリ...

 

植物はアミノ酸態窒素を吸収した後、どのように利用するか?

有機質肥料の施肥では種類と作物の相性に注意すべきの続きまでの記事で有機質肥料の肥効について見てきた。そろそろ見ていきたいものとして、植物がアミノ酸態窒素を吸収した時に、アミノ酸窒素がどのように利用されるのか?についてで、本来であれば光合成を経て合成されるアミノ酸からタンパクを組み立てる時に、根から吸収したアミノ酸がその分を補填するのか?を知りたい。この疑問は二瓶直登著 植物のアミノ酸吸収・代謝に関する研究 - 福島農総セ研報 2: 21-97 (2010)の69ページに記載されている...

 

有機質肥料の施肥では種類と作物の相性に注意すべきの続き

有機質肥料の施肥では種類と作物の相性に注意すべきの記事で有機質肥料に含まれるアミノ酸の構成によって、作物に与える肥効はどのようになるか?を2つの研究報告を基に考えてみた。2つの研究報告を読んでいて、絶対に触れておくべきだと感じたものがあるので、今回はその内容に触れておく。その内容というのが、ダイズと各窒素肥料の施肥との関係だ。二瓶直登著 植物のアミノ酸吸収・代謝に関する研究 - 福島農総セ研報 2: 21-97 (2010)の11ページにダイズと各窒素肥料の施肥の...

 

有機質肥料の施肥では種類と作物の相性に注意すべき

イワシのアミノ酸成分表を見てみるの記事で、イワシのアミノ酸について触れた。この内容を踏まえた上で、二瓶直登著 植物のアミノ酸吸収・代謝に関する研究 - 福島農総セ研報 2: 21-97 (2010)の内容を読み直してみることにした。上記の報告は各作物に対してアミノ酸を施した時の挙動になっていて、有機質肥料を施肥する時の参考になる内容が含まれている。早速だけれども、たくさんある内容のうち、19ページに記載されている内容をピックアップしてみる。/*****************...

 

魚粉肥料を用いたネギ栽培で増強される旨味成分は何だろう?

魚粉肥料を施肥すると作物の食味が向上するのは何故だろう?の続き。前回の記事では魚粉肥料を施肥することにより、旨味の向上が見られる作物としてトマトと旨味成分について見てきた。今回はネギと魚粉肥料についてを見ていく。ネギ栽培で魚粉肥料を使用している方が、食味の向上が見られるのはもちろんのこと、魚らしい旨味が増すと言う方もいたりする。魚らしい旨味というのは、今までの記事からだとイノシン酸になるわけだけれども、ネギはイノシン酸を蓄積するのだろうか?とりあえず、...

 

魚粉肥料を施肥すると作物の食味が向上するのは何故だろう?

ヒトはタウリンを生合成できるのか?までの記事で、(脱線はしたが)魚粉肥料についてを見てきた。有機態窒素多めでリン酸も多く使い勝手の良い有機質肥料と思いきや、石灰(カルシウム)の量が不明確で地雷も多い有機質肥料であることがわかった。施設栽培で軽微な鉄欠乏の症状を見逃すな果菜の施設栽培で食味の向上として魚粉肥料を用いられることが多いが、細心の注意を払って施肥設計を行わないと、何処かで深刻な連作障害に陥ってしまう。今回は話はちょっと変わって、魚粉肥料を用いて栽培した野菜の味...

 

硫酸リグニンは施設栽培の慢性的な鉄欠乏を解決できるか?

土壌中でタウリンを資化する微生物は存在するか?までの記事でタウリンについてを調べていたのだけれども、その時に興味深い研究報告を見かけた。それは〔2023年8月24日リリース〕樹木の主要成分であるリグニンから植物の成長促進剤の開発に成功~鉄欠乏土壌を救う環境に優しい金属キレート剤~ | 2023年度 プレスリリース一覧 | プレスリリース | 広報・社会連携 | 大学案内 | 国立大学法人 東京農工大学だ。内容はバイオマスエネルギーの産業廃棄物である硫酸リグニンを水溶化処理したものを植...

 

魚粉肥料についてを細かく見てみる4

魚粉肥料についてを細かく見てみる3までの記事でカツオを原料とした魚粉肥料についてを見てきた。水産加工品の残渣を肥料にする限り、石灰問題の回避は難しいというのが前回までの感想。魚油加工用のイワシ由来のフィッシュミールは油分のみ抽出なので、石灰の含有量は多くないかもしれないが、濃度圧縮して骨由来の石灰の影響が大きくなっていることは間違いない。フィッシュミールとは? | 石巻魚糧工業株式会社こんな魚粉肥料だけれども、ブラックバスやブルーギルを乾燥し粉末した肥料が...

 

魚粉肥料についてを細かく見てみる3

魚粉肥料についてを細かく見てみる2の記事でイワシを乾燥して粉砕した魚粉肥料について見た。その際にイワシの栄養価も合わせてみて、魚粉肥料の肥効に関する内容も触れた。イワシを乾燥して粉砕した魚粉肥料はN:P:KのN(窒素)に当たる有機態窒素の含有量が圧倒的に多い肥料であった。上記内容を踏まえた上で、現在一般的に売られている魚粉肥料について見てみる。魚粉肥料のN:P:Kは窒素 7 〜 9%,リン酸 4 〜 9%,カリ 0 〜 1%と言われている。窒素とカリは前回の記事から上...

 

魚粉肥料についてを細かく見てみる2

魚粉肥料についてを細かく見てみるの記事で魚粉(魚粕)肥料の定義に触れた。定義を見る限りでも、赤身魚系(ブラウンミール)と白身魚系(ホワイトミール)に分けられたり、加工方法に違いがあったりすることがわかった。上記のような違いがあれば、当然養分の構成にも違いが出てくるのは当然なので、魚粉肥料について深堀してみる。最初に農水省のサイトで見つけた魚粉肥料についての資料を紹介する。酵素処理魚粉 - 農水省で触れている酵素処理魚粉だけれども、製造方法にイワシを...

 

魚粉肥料についてを細かく見てみる

塩化カリを施肥する上で金属の腐食を意識すべきか?までの記事で有機質の肥料や補填系の天然素材の肥料を見てみた。この話の発端は、大規模栽培をしている某生産法人の話題になり、そこが有機質の肥料を主に栽培をしているのだけれども、有機質の肥料といった不安定な肥効を示すもので計画的な栽培は可能なのか?という話題に落ち着いた。先に結論を書いておくと、話題に挙がった某生産法人の地域には、至るところで緑色の石が落ちているのを見かけた。これが何を意味しているのかは下記の記事に詳しい記載がある。青...

 

海水由来の塩化カリ

硝石の製造方法についての記事で硝石こと硝酸カリ(KNO3)は熟成した家畜糞と草木灰を混ぜて加熱した後に得られた絞り汁に含まれていることがわかった。黒色火薬として用いるのであれば、この方法は適していたかもしれないが、農業利用といった大量消費の際にはこの方法は手間過ぎるので現実的ではない。硝酸カリの工業的な精製方法はあるかもしれないが、その話は触れずに今回はもう一つのカリ肥料である塩化カリ(KCl)について再び触れてみる。有機質肥料メインの栽培でカリの施肥の難しさ塩化...

 

硝石の製造方法について

NHKのブラタモリという番組で白川郷の話題があって、便所の横で硝石を製造していたという内容が放送された。「白川郷〜白川郷はなぜ美しい?〜」 - ブラタモリ - NHK硝石というのは黒色火薬の材料の一つになる。余談になるが講談社から発売されているもやしもんという漫画で大学の先生が学生の大便から大砲作ろうぜという話題があることで、大便から硝石が出来ることを知った人も多いはず。「もやしもん」既刊・関連作品一覧|講談社コミックプラス硝石は化学組成がKNO3になる硝酸塩で、即効...

 

有機質肥料メインの栽培でカリの施肥の難しさ

山形の北部の盆地の更に北で緑泥石と出会ったの記事で山形に行った際、カリの施肥はどのようにすれば良いか?という話題になった。なぜ、上記のような話題になったのか?といえば、山形県全体で地質的に慢性的なカリ不足に陥る可能性が高く、それをどうにか回避したいというのが発端だ。すぐに挙がったカリ肥料の候補としては、By Luis Miguel Bugallo Sánchez (Lmbuga Commons)(Lmbuga Galipedia)Publicada por/Publish...

 

植物は地力窒素をどのように活用するか?

タンニンのタンパク質凝集モデルは地力窒素の理解に繋がるか?の記事で、地力窒素とは、タンニンのタンパク分解酵素を抑制しつつタンパクを凝集させる作用に拠るものなのか?という内容を記載した。上記の話題が正しいとして、次に気になるのはタンニンによって凝集したタンパクの肥効についてだ。肥効の順番はタンパクの分散 → タンパクを切断 → ペプチド → アミノ酸 → 無機化になるが、最初のタンパクの分散はどのような反応になるのか?検索をしても求めている情報にたどり着かなかったので、タンニン...

 

窒素肥料の複雑さの続き

窒素肥料の複雑さの続き。今回は前回触れなかった核酸について触れる。パブリック・ドメイン, Linkイノシン酸  Wikipedia核酸には色々とあるが、発根促進の効果があるとされるイノシンの前段階のイノシン酸から見ていく。人にとっての旨味成分が植物の発根を促進するか?イノシン酸の左にあるリン酸基(H2PO4-)が外れると、By Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, Linkイノシ...

 

窒素肥料の複雑さ

今回は稲作の地力窒素を考えるの記事で触れた各種窒素肥料のうち、一般的に言われている肥効と異なる作用を示すものについて触れてみる。上記の記事で窒素肥料を○無機態窒素・硝酸態窒素(硝安、硝酸カリや硝酸石灰等)・アンモニア態窒素(硫安、硝安や尿素等)※名称に安(アンモニア)が付くものがアンモニア態窒素なので、硝安(硝酸アンモニウム)はどちらにも分類される○有機態窒素・アミノ酸・ペプチド・核酸・タンパクのように分類した。これに合わせて、窒素肥料の肥...

 

稲作の地力窒素を考えるの続き

今回は稲作の地力窒素を考えるの続き。前回の記事で窒素肥料についてを分類して、有機態の窒素のタンパクが地力窒素に該当するのでは?と記載したが、タンパクの分解の早さを考えると難しいという内容を記載した。稲作には乾土効果という地力窒素の肥効を前倒しする手法があり、そこから地力窒素は土壌粒子に吸着している有機物であることが予想出来る。であれば、地力窒素の形状はある程度絞られることになる。地力窒素に関して検索をしてみたら、古い内容であるが、地力窒素の分子実体は何か ...

 

稲作の地力窒素を考える

米の粒を大きくしたいという相談があったの続きまでの記事で、稲作と米の加工を行っている方から米の粒を大きくするにはどうすれば良いのか?について整理してきた。これに対して、実の形成時の養分転流を意識することが大切だと触れ、植物ホルモンの観点から養分転流が最大になるようにすることを考えた。養分転流を最大にする件に関する一点目は、初期生育時の発根を活発にする事で、栽培後期の養分転流を活発化する。二店目に必要になるのが、おそらく地力窒素なので、今回は地力窒素に触れていくことにする。...

 

栽培者の求める最高の肥料は地下深くで形成される

青い石を理解するために鉱物の緑泥石化作用を見るの記事で栽培者にとって重要な青い石のうち、青い要素である緑泥石化について見た。長野の栄村小滝集落の米づくり玄武岩に含まれる黒雲母が熱水という弱い変成作用によって、枕状溶岩の空隙にはゼオライトが充填されている緑泥石となり、岩全体が緑色になることがわかった。緑泥石を中心にしてただ、これでは冒頭で触れた青い石こと、緑色片岩ではない。緑泥石化した玄武岩は海底火山に因るものだという話題に戻り、...


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